論文
※著者肩書きは発表時のものです

ドゥルーズ『差異と反復』における
「学び」に関する一考察

大藤 渉広島大学大学院(院生)

 本発表は、私たちが自明のものとして受け入れている知識や制度、道徳が、実は「虚構」によって成り立っているという問題意識のもと、ジル・ドゥルーズの『差異と反復』を手がかりに、「虚構」の世界を転倒させる「学び」のあり様を考察する。ドゥルーズによれば、人々が正しいものとして共有する知識や価値は、「思考のイメージ」という暗黙の前提によって成立している。しかし「学び」とは、その前提の上に安住することではなく、それを破壊し、「見せかけ」に満ちた「仮初の世界」に迷い込むことである。そこでは経験的に得られた知は絶えず揺らぎ、人は思考せざるをえない状況へと巻き込まれる。したがって「学び」は、既成の知を獲得する過程ではなく、不意の出会いを通じて、不安や苦しみを伴いながら、自らの思考や存在の仕方を変形し続ける運動として描かれる。本発表は、このような「仮初の世界」における「学び」を通して、人間とは決して完成された存在ではなく、「来たるべきもの」であることを示す。
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