カント『純粋理性批判』における理性の認識の限界
松本紗知山口県立大学 社会福祉学部 4年
カント『純粋理性批判』は、人間の理性がどの範囲でどのように認識できるかを問う哲学書であり、対立していた経験論と合理論を批判的に統合し、自然科学の客観性を基礎づけることを目的とする。カントは認識の働きを「感性・悟性・理性」に区別し、まず感性は外界からの刺激を受け取り、それを空間と時間という先天的な形式のもとで直観として与えるとした。次に悟性は、その直観に対してカテゴリーと呼ばれる思考の枠組みを適用し、因果関係や実体といった形で対象を統一的に把握する働きを担う。この感性と悟性の協働によって成立するのが「現象」としての世界であり、私たちが経験しうるのはあくまでこの現象に限られる。一方で、対象がそれ自体としてどのように存在するかという「物自体」は、人間の認識能力の枠を超えているため、理論的には認識不可能であるとされる。さらに理性は、与えられた経験を超えて、無条件的で究極的な根拠を求める性質をもつため、神の存在や魂の不死、世界の始まりといった形而上学的問題に向かう。本論文は、このような究極真理について考えてしまう人間の本性について詳しく述べている。

