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日本を代表する哲学者である西田幾多郎(1870-1945)は、1897(明治30)年9月から1899(明治32)年6月まで山口市で暮らしました。山口高等学校の教員として過ごした山口での日々で西田は、その独自の哲学の根幹を形成したといわれております。
石川県西田幾多郎記念哲学館(かほく市)は、山口市の旧市内が西田が暮らした当時の面影をとどめ、その住居も現存していることを確認し、このたび西田ゆかりの地である山口県立図書館を会場として山口大学哲学研究会、山口西田読書会と共催で、講演会を開催いたします。皆様のご参加をこころからお待ちしております。
10:00 | 開場 |
10:30〜12:00 | 読む時間 読書会I(佐野之人) |
12:00〜12:45 | 休憩 |
12:45〜14:15 | 考える時間 読書会II(同上) |
14:15〜14:30 | 休憩 |
14:30〜16:30 | 聞く時間 講演会(秋富克哉) 「形なきものの形—西田哲学が問うたもの」 |
10:00〜12:00 | 見る時間 西田旧宅+辻村文庫の公開 時間内に随時見学できます |
佐野之人
昼食後は共に哲学的思索と議論を行います。ここでは「知識の披露」つまり「自分の知っていることをしゃべること」を禁止し、どこまでもテキストの読みと哲学的思索のみで勝負をする、そういう場にしたいと思います。対話のルール、マナーは上記ブログでお伝えいたします。
山口大学教授
山口大学教育学部附属山口中学校長
1956年静岡県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。同大学院博士後期課程満期退学。2010年より現職。哲学、倫理学を担当。主な研究分野はヘーゲル、京都学派(西田、田辺、西谷)、ハイデッガー。
形なきものの形
西田哲学が問うたもの
秋富克哉
このたび、西田幾多郎生誕の地・ゆかりの地交流事業「西田幾多郎に出会う」の一環として、講演をさせていただくことになりました。テーマをうかがった時、すぐに自問しました。私はどのようにして西田に出会ったのだろうかと。いや、そもそも私は、本当に西田に出会っているのだろうかと。
私は大学時代、西田研究の第一人者上田閑照先生のもとで学び、次第に西田哲学に触れるようになりました。しかし、専門的に取り組んだのはハイデッガー哲学で、特に西田哲学研究に従事したわけではありませんでした。いつ頃から西田に本格的に関わるようになったのか、ただ気がつけば、西田が私の中で大きな位置を占めるようになっていました。
私を惹き付けたのが、西田の独創的な哲学であったことは言うまでもありません。しかし、それ以上に決定的だったのは、哲学の出て来る源泉、つまり人間西田幾多郎でした。
西田哲学は非常に難しく、専門に研究している者にすら理解は容易でありません。しかし、論文以外に、数々の随筆、短歌、書、そして折々の日記や書簡が残されています。それらは、硬質で難解な哲学論文とは異なり、きわめて細やかな情に満ちた西田の生(なま)の姿を示してくれます。これらを通して私は、これまでその時々に西田に出会ってきましたが、人間西田は、私が出会ってきたその全体より常に大きい存在です。
講演では、まず山口時代の日記をもとに、若き日の西田の姿を取り出します。次いで、やがて哲学の道に進んだ西田が哲学的に問うたものを、彼自身の言葉に即してお話するつもりです。西田の努力は、西洋起源の哲学に対し、日本古来の世界観や人生観から独自な哲学を作り上げていくことでした。表題に掲げた「形なきものの形」は、そのためのキーワードです。講演を通して、皆さんお一人お一人が西田幾多郎に出会われるためのお手伝いを少しでもさせていただけるなら、それに勝る喜びはありません。
京都工芸繊維大学教授
西田哲学会会長
1962年山口県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。同大学院博士後期課程満期退学。2003年京都大学博士取得(文学)。2016年度より西田哲学会会長。主な研究分野はハイデッガーを中心とする現象学、京都学派(西田、三木、西谷)。