今年も「饗宴2024」を開催いたします。合わせて前日に山口西田読書会の文学講座を一般に開放します。本年で7回目を迎える「饗宴」は、このたび山口大学教育学部との共催になりました。
この会が山口大学で哲学・文学を学んだ人たち、あるいは市民で哲学・文学を愛好する人たちの生涯の発表の場になると共に、そういう方々にとっての「哲学同窓会」の場になればと思います。地域が学生・教員・学者を育て、その研究成果を地域で共有する。そのような仕方で地域に「哲学する」文化が育って行く。こうした夢の実現は、かつて大学が市の中心にあったとき、市民が学生を愛し、学者を大切にし、見守った、そうした関係の再現を目指す、市民の側からの提案でもあります。
私たちがその身に生まれた「人間」。しかし通常私たちは自分が「人間」であることをあたり前のように思い、「人間とは何か」を問うことはありません。そうして目の前の目的の実現や目標の達成に忙しく、ただただ「人間であること」が過ぎ去ってきた。しかし問わなければならない。「人間とは何か」と。そこで今回も皆様と共に標記テーマのもとに「人間」を考えて行きたいと思います。
山口大学 教育学部 特命教授
第7回「饗宴」に合わせて、前日の23日午後に、村上林造先生の文学講座を一般に公開いたします。
テキストは村上春樹「あしか祭り」です。『全作品』版を用いますが、同作品は講談社文庫『カンガルー日和』でもご覧いただけます。当日、テキストは配布・音読いたしますが、予めお読みになられておくことをお勧めいたします。討論の柱を立て、それに基づいて自由な討論を行う予定です。