※著者肩書きは発表時のものです

ハイデガーに於ける真理の本質
―正しさを可能にする根拠と形而上学の克服―

花本直美山口大学 教育学部 社会科教育選修 4年

真理とは一体何だろうか。真理は、たとえば神のような絶対的なものとの一致なのだろうか。そのように考えることは思考を止めてしまわないか。マルティン・ハイデガー(Martin Heidegger)は「真理」について、単なる事実の表面的な一致ではなく「存在」との深い関わりがあると考えている。「絶対的なもの」ではなく、それが「存在する」という事実を追求するハイデガーの真理論に興味を持ち、彼の思索を明らかにしたいと考えた。主要文献は『真理の本質について』という講演である。ハイデガーは真理の本質を、それぞれの「真理」を一般に真理として特徴づける唯一のものに注目して考察する。そしてその思索は存在論へと移ってゆくのだが、彼は「形而上学」に対し、「存在」へのアプローチの問題点を指摘し、別の哲学的アプローチを示すことで「存在」の把握を目指す。本論文は「形而上学の克服」を考察し、存在や真理に対する深い理解が得ることが目的である。ハイデガーがこの講演で何を示しているのかを考察し、正しさを可能にする根拠と、「形而上学」ではない「存在」への向き合い方を示したい。
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